舛添要一知事の政治資金問題で揺れる中、東京都議会平成28年第2回定例会本会議の傍聴へ。
予想通り、傍聴券配布開始直後だというのに都議会ロビーは、報道陣と傍聴を希望する人々でごった返していた。

いつもなら、もっと閑散としているし、委員会の傍聴の時なんて、職員に

「なんでわざわざ傍聴しにくるんだい?」

という顔をされている気がしないでもないのに。
で、一般傍聴の定員は186人なのに、どう考えてもオーバーしているとしか思えない。

近くで中継中の某テレビ局の記者が

「傍聴券配布時にはすでに160もの人々が並んでいて」

なんて言っている。

「…こりゃ、油断した。でも、いつも傍聴しに来ない人々に負けていられるもんか!」

と慌てて、並んでいたら、なんとか傍聴券をもらえた。
番号は、な、なんと、500番台!押し寄せる傍聴希望者に臨機応変に対応してくれたらしい。

都職員の方々、本当にお疲れさまです。

無事に傍聴券をゲットし、7Fの傍聴席に入場するために並ぶんだが、今度は人気アーティストのライブ並の長い行列が目の前に。

途中、一般傍聴人向けの撮影腕章をしている人を発見。申請場所を教えてもらい、申請しに行くことにした。
一般の場合は、公表できないが、撮影できるのは貴重なんでね。

数多くの傍聴の人々と報道陣をかき分け、階段で4Fの局長室へ行き傍聴券の番号、住所、氏名、カメラ機種などを記入して行う。

 

記入している最中、どこかの今どきのネットメディアの人が一般で許可をもらうとしていて、

「撮影した写真を記事に載せたい」

と申し出ていた。

すると、

「都職員が上司に許可をもらわないといけないから手続きが面倒云々」

と対応。

「…小さいメディアでも報道で受付すればいいのでは?」

と思ったが、あの後どうなったんだろうか?

都職員側も大手報道が知事のスキャンダラスなことしか取り上げないので報道に対しては特にやたらピリピリしている気がしてならなかった。

 

許可が下り、緑の一般傍聴の撮影の腕章をつけ、再び列に並ぶ。

都職員が

「開会まで時間があるので、お昼を取りたい人はこの間に取ってきてください」

など、いろいろ気遣っているのが聞こえてくる。

それでも、熱心すぎる一般傍聴者が低姿勢の都職員に対して暴言を吐いていて、痛々しい。
言いたいことがあるのはわかるけど、仕切っている都職員に言ってもねえ。
まだ傍聴席に座っていなくても、ちゃんと傍聴のルールは守ろうよ。
でないと、傍聴自体できなくなるから。あくまで、傍聴は公平な立場を保たないと。


入場を待っている間、また別のテレビ局が中継していて、

「こんなに大勢の人々はが傍聴に来ています。都民の怒りはすごいです!」

と張り切って説明。でも、傍聴の人々は

「そんなに怒っているってわけでないんだけどな」

と苦笑。観光気分の人もいるらしい。私は単に傍聴目的で来ているだけだし。
やはり、実際現場に出向いて自分の目で確かめないといけないと実感。

 

そして、12時45分くらいに入場開始。
ここで、住所・氏名を記入した券を渡し、氏名だけを書いた半券をもらう。軽く荷物もチェックあり。

席は、報道席の真後ろのところを陣取った。

一般傍聴席から撮影していたら、いかにもベテランの警備員が

「撮影する場合は、報道席のスペースに移動してください!!」

と注意。そんなの、さっき申請の時聞いてないし、注意書きにも書いてないよ。

もう、あまりの傍聴人の数でてんやわんやみたいで、この警備員の人が

「緑の一般傍聴の腕章をつけてんのが何人かいるんだけど、

どこに座ったのかわかんねーんだよ!!!」

と、嘆いているのまで聞こえてくる始末。あー大変だわ。次回までに対策してほしいな。

とは言え、議場はゆったりしてるので穏やかな気持ちで傍聴することができた。

開会時刻数分前にブザーが鳴り、全議員が入場。
その後に、みんなのお目当て、舛添知事が議長席の脇に着席。


1.開会(黙祷)

いつもなら、クラシックの生演奏が行われるのだが、熊本大地震の犠牲者に対する黙とうを傍聴人も含めた全員起立して行った。

 

2.開議

会期の決定を承認し、

 

3.会議録署名議員の指名

 

4.諸報告

 

5.災害見舞金贈呈の報告

 

6.文書質問に対する答弁書の送付について(塩村あやか議員、おときた駿議員、宮瀬英治議員、上田令子議員、尾崎あや子議員、中村ひろし議員、小竹ひろ子議員、今村はるか議員、岬上三和子議員、大山とも子議員、吉田信夫議員)

 

とスラスラ読み上げていく。

 

7.開会中における議員の辞職の報告について

大田区選出の大田健氏が辞職。
一部報道によると、次の衆院選で静岡4区から出馬するためらしい。

 

8.新任説明員の紹介

 

9.閉会中における常任員の所属変更の報告について

 

10.会期の決定

6/1から6/15の15日間の提案に対し、全会一致、異議なしで可決。

 

11.知事の発言

いよいよメインイベントである知事の所信表明の項目へ。
舛添知事が登壇すると、一斉にシャッター音と大手報道の方々のタイピング音が鳴り響く。

発言内容をまとめると以下の通り

◎名誉都民の多湖輝氏逝去(「頭の体操」の著者)

 

みんなが一番気になっている例の件については、

 

◎海外出張などの件で迷惑をかけたことを深く詫び、真摯に受け止める。

◎ファーストクラス、スイートルームは使わない。

◎随行させる職員も厳選する。

◎公用車の使用は極力避ける。

◎今回の政治資金疑惑については第三者の弁護士に調査を依頼しており、

結果報告は本会議の審議に間に合わせる。

 

ということ。

途中、議員から多少野次が飛んでいたり、議員たちからもドヤドヤとブーイングも。
意外と迫力がなくて残念。野次については以前トラブルがあったので自粛しているのか?

次の話題になったとたん、報道記者のタイピングの音が止まった。
これ以外には全然興味がないらしい。シャッター音まで静かになる。
他にも大事なことがたくさん発言されるはずなのに
肝心なことが割愛されるのって事前に決められているんだな。
分かっているが。情けない。
私は、舛添氏の信者でもアンチでもないから公平で客観的な情報がほしいのだ。

 

話題の件以外について箇条書きを続けると

 

◎熊本地震への東京都の対応、状況の説明

◎福島訪問の報告、ニーズにふまえた対応を前向きに検討

◎リオオリンピックへの期待、リオでは東京をアピール

◎ラグビー、東京オリンピックに関する進捗状況

◎ル・コルビュジェが設計した国立西洋美術館の世界文化遺産への登録申請

 

ここで、男性議員から野次が。残念ながら内容が聞き取れない。

 

◎パラリンピックに備えたイベントの報告

◎高齢者へのフォロー

◎女性活躍のバックアップ

◎中小企業に対してワンストップ様々な相談の受け入れの強化

◎教育への更なる支援、不登校児のフォロー強化

◎都民の安全対策をハード・ソフト両面からバックアップ

◎伊勢志摩サミットに備えたセキュリティの強化

◎ジカ熱、デング熱の対策

◎東京マラソンでの観光都市としてのアピール

◎舟運(たぶん)の強化

◎東京手しごとプロジェクトについて

◎東京をロボット産業都市に

◎海外の金融企業へのフォロー

◎都市再生計画10兆円の経済効果

◎病院の改善

◎ライフサイエンスの強化

◎東京駅周辺を世界一のビジネス界に

◎羽田空港の改善、機能や整備の強化

◎地域の鉄道網、鉄道ネットワークの充実を目指すため、関連団体との連携

◎水素ステーションの設置、水素を身近なエネルギーにすることを目指す

 

英単語が出てきたら、ネイティブ風の発音だった。

 

◎東アジア○○○に加盟、JR×××が日本で初めて加盟

◎全ニューヨーク市長との談話

◎国際化への対策

◎未来の東京を支える人材を育てる

 

ここで、男性議員から

「責任と取れ!都民を裏切るな」

と野次。続いて、

「都民は許さない、ドヤドヤドヤドヤ」

と野党の男女議員から野次が止まらなくなる。

 

で、知事もお詫びを再度発言しているのだけど野次が止まらないため、議長が

 「静粛しないと退場を命じますよ」

 と発言したら、野次終了。


◎以上述べたように25件の議案があるから、審議をよろしくお願いします

 

と締めたんだが、やはり議員側からブツブツとブーイングが途切れない。

 

12.休会の決定

の審議に移り、議案調査のため、5日間休会することが可決。

13.散会

担当の議員の宣誓で、なんとか散会した。

 

ザワザワと傍聴者も退場する中、一般傍聴席から

「自民・公明、しっかりしろ!」

の野次が飛ぶ。言いたいのはわかるけど、傍聴のルールに従ってくださいよ。

知事を含めた議員全員退場すると、都職員が忘れ物をチェックをして、彼らも退場。

 

全部で30分くらい、そのうち知事の表明は20分くらいだった。

 

傍聴席出口に

“傍聴に来てくださり、ありがとうございました”

の札が掲げてあるが、みんな見てるのだろうか。
税金を払っているのだから、傍聴できるの当たり前。
きっと全然眼中にないだろう。

 出口付近で、報道が一般傍聴者にインタビューしていた。
局側にとって都合の悪い回答をした人のは、どうせカットされるんだろうな。


都民広場へ出ると、どこかの中学か高校の社会科見学に出くわした。
いよいよ18歳でも投票できるようになる。
投票日直前に試験勉強の一夜漬けのように候補者を調べるのではなく、
普段から議会や委員会を傍聴するなどして、
生の政治を自分の目で確認し、誰に投票すべきか考えてほしいもんだ。

 

少しでも都議会に関心を持ったら、

専門のテレビ番組を見ることから始めるのもひとつの方法。